廃番と聞いて止まったが、現物を見ると替えられる幅は広かった
建物に使う予定だった部材が、もう作られていないと分かった。古い建物を触っていると珍しい話ではない。それでも、組んでいた段取りから一枚抜けると、頭は一度止まる。
選択肢は二つだった。近い部材を探して今の計画をなるべく変えないか、その部分の作り方から変えるか。机の上で考えていると、どちらも大掛かりに見えた。
資料より先に、現物へ戻った
そこで現地へ行き、実物を見た。すると、替えられる幅は思っていたより広かった。写真や寸法だけで考えていたときには見えていなかった余裕があり、計画全体を大きく変えなくても収まりそうだった。
もし現場を見ずに決めていたら、必要以上に大きな工事を考えていたと思う。分からないまま机で考えると、起こり得ることを全部並べて備えたくなる。現物を見ると、起こり得ない選択肢が消え、そのぶん判断が軽くなる。
手を離せる作業と、自分で見る判断を分ける
情報を集め、条件を比較する作業は、今の道具へかなり任せられる。しかし、古い建物の隙間や納まりは、現物を見なければ分からないことがある。全部を自分で見る必要はないが、前提が崩れた場所は自分の目で確かめたほうが早い。
「廃番です」という一言で止まりかけた計画は、現地へ行くことで動き直した。この日に短くなったのは工事だけではない。分からないまま悩む時間も、現物を見たことで終わった。
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