大きい洗濯機を勧めなかった。「同じ量です」と言い切った理由
午前中、洗濯機の前で使い方を説明していました。案内音声は、洗濯物を入れ、ドアを閉め、確認してからボタンを押す手順を繰り返しています。その横で私は、洗う作業がもう終わっているのかを最初に確かめました。そこが分からなければ、次にどの機械を使うか決められないからです。
相手が迷っていたのは、二枚あるものをどの機械へ入れるかでした。大きい機械を選んでおけば失敗はしにくそうです。私も、無難に大きいほうを勧めれば説明は早く終わると思いました。
「大きいほうが安心です」で済ませなかった
しかし、二枚ならこちらと同じ量が入ります、と伝えました。同じ大きさのものが二枚なら、この機械とこちらは同じです、とも説明しました。見た目の大きさではなく、実際に入る量を基準にすれば、大きい機械を選ぶ必要はありません。
使う側からすれば、機械の性能を詳しく知りたいわけではありません。洗剤は自分で入れるのか、機械が自動で入れるのか。ここで洗って、乾燥は別の機械へ移すのか。乾燥まで任せると、どのくらい時間がかかるのか。知りたいのは、機械がどこまでやってくれて、どこから自分が動くのかという境目です。
説明する側は、つい機能から話したくなります。高性能であることや、大きな容量を強調すれば、説明した気にもなります。ただ、聞いた人が次に何をすればよいか分からなければ、説明は終わっていません。
この日は、まず現在地を確認し、次にその機械がすることを伝え、その先にどこへ移るかを説明しました。最後に、別の機械でもできますよ、と選択肢も残しました。全部をこちらで決めればその場は早く済みますが、次に来た時も同じ質問が必要になります。選び方が分かれば、次からは自分で決められます。
相手のための説明には、こちらの知識が要る
振り返って残ったのは、「同じ量です」と言い切ったことでした。大きいほうが安心です、と勧めるだけなら、説明する側の責任は軽くなります。容量が余って困ることは少ないので、間違いにも見えません。
けれど、それでは相手が余分な選択をするかもしれません。相手に必要なものを勧めるには、機械の違いと量の境目を、こちらが正確に知っている必要があります。知らないまま親切にしようとすると、結局は自分が責められにくい無難な答えへ逃げてしまいます。
仕事の説明でも同じだと思います。サービスの機能を並べるより、ここまではこちらが行い、ここからは相手にお願いする、と言えるほうが役に立ちます。含まれることと含まれないことが分かれば、相手は自分で判断できます。
説明を詳しくすることと、分かりやすくすることは違います。この日、機械の前で必要だったのは長い説明ではなく、相手が迷っていた境目に一本の線を引くことでした。次に誰かへ仕事を説明する時も、機能ではなく「あなたの手番はどこからか」を先に伝えたいと思います。
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