2026-08-14
「リストが資産」と宣言した翌日、リストを売る誘いを断った
10時44分、取引のある会社の代表から電話が来た。
話は、先方の顧客分析から始まった。問い合わせ客を優先度で3段階に分けたら、一番下のティア3が「全体の売り上げの8割の数があるのに、2割以下ぐらいの収益貢献なんですよね」と言う。パレートの法則ですよね、と返した。本人も「こんなになってるとは思ってなかった」と驚いていた。
そこから誘いになった。その成約しにくいティア3の客を、複数の会社へ紹介して収益化しているという。「一案件あたり最大三社ご紹介します。つまり三万、三万、三万で、一リードあたりマックス九万円」。自社の営業が失注しても、少なくとも六万は入ってくる。おたくのリードでも同じことができますよ、という話だった。
前の夜に、自分で言ったばかりだった
実はその前の夜、経営者の勉強会でこう宣言したばかりだった。「当社としてはもうリストを中心に事業を考えるというふうに変えました」。何を売るかから考えるのではなく、こういうリストがあるから、そのリストに対してどういうサービスを売るかを考える。勢いがついて、「皆さんリスト屋さんになった方がいいと思いますよ」とまで言っていた。
その翌日に、リストがそのままお金になる話が向こうから来た。最初は、同じ方向の話に聞こえた。断られた問い合わせが1件9万円に変わるなら、数字としては悪くない。
「リストを売ったんか」となる入口かどうか
ただ、一つ確かめたいことがあった。「そのB社が受注しても、受注しなくても、渡してしまうと」。答えはこうだった。「顧客情報を与えるんで、リストがだから共有されるっていう状態にはなりますね」。
ここで、引っかかりの正体が見えた。私は電話口でこう言った。「そのリストを、今後失注したとしても、それ以外のことを案内してマネタイズしようと思ってるんですよね。だからリストは手元に残しておきたいんですよ、全部」。
もう一つは、お客様側の見え方だった。うちのホームページやLPは、保険の窓口や車の相見積もりのような、複数の会社から連絡が来る前提の入口ではない。私に相談したつもりの人へ、知らない会社から立て続けに電話が入ったら、「リストを売ったんかってなるじゃないですか」。クレームにもなると思う、と伝えた。相手の返事は「それはそれでもしょうがない」だった。ここで見解が割れた。
昼前、顧問との定例でこの話を整理した。「うちのリストを売ってもらったら困るよ」と言って断った、と報告した。数字でも確かめた。広告を出していた頃、問い合わせ1件を取るのに8千円から1万円かかっていた。「一万円かけて一万円もらうっていうのは馬鹿馬鹿しい話ですよね」。売るくらいなら、自分で集めて自分で提案した方がいい。
リストを中心にするというのは、リストを売ることではなかった。同じ「リストで稼ぐ」でも、手元に残して提案を重ねるのと、渡して一回だけ換金するのは、逆の行為になる。だから今は参入しない。ただし言い切ってもいない。「将来的にはありかもしれませんけど、今は」。それが8月14日時点の答えだ。宣言した翌日に誘いが来たおかげで、自分の言った「リスト中心」の意味を、自分で確かめることになった。
成約しなかった問い合わせの一覧を、どう扱っているだろうか。売れば今月の売り上げになり、残せば次の提案先になる。私は残す方を選んだ。
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