2026-08-17
「アラート鳴ってましたよ」と言われた。私は何も聞いていなかった
フライトから戻った夜、同乗してくれた経営者と焼肉屋にいた。そこで言われた。「途中、黄色いのが出て、アラートみたいなのが鳴ってましたよ。上がってる時も」。
私は即座に返した。「それは見てないですね」「今日、私の認識では全く何もない。異常があったかというと、何もなかった」。アラート音も鳴っていない。計器は飛んでいる間ずっと見ている。自分の認識を疑わなかった。
同じ画面が、隣の席では違って見えていた
話を突き合わせていくと、正体が分かった。相手が見ていたのは、設定した高度を外れたときに画面へ出る黄色いマークだった。私はその日、自分で設定値を分かったうえで外れて飛んでいたので、「出ることを知っていて、無視していい表示」として見ていた。問題は何もない。
ただ、初めて乗る人がそれを知るはずがない。私にとっての「確認済みの印」は、隣の席では「異常のサイン」に見えていた。同じ画面を見ていても、意味がまるで違っていた。そして相手は、着陸までそれを口にしなかった。理由を聞くと、こう言った。「運転の邪魔になると思ったから」。
疑問は、その場で言ってもらう
私は、いつも一緒に乗ってくれる人には昔から一つだけお願いしている。「疑問に感じたら、とにかくその場で言ってくれ」。言ってもらえれば、「それはこうだったから問題なかったよ」とその場で説明できる。黙ったまま着陸まで不安を抱えさせるほうが、よほどよくない。気を遣った沈黙は、操縦席に入ってくる情報を一つ減らす。
飛行機は、途中で止まって考えることができない。だから起こり得ることを先に考えて、備えておく。備えてあったことに遭遇しても慌てない。これは経営と同じだと、いつも思っている。会社でも、周りの人が「変だな」と思ったことを黙っている間に、小さな黄色いマークは大きな問題に育っていく。質問を「邪魔になるかも」と思わせた時点で、こちらに届く情報は減り始めている。
だから、疑問をその場で言ってもらえたかどうかは、相手の性格ではなく、こちらの日頃の伝え方の結果だと思うことにしている。この日は、そのルールをまだ伝えきれていない人が隣にいた。それが分かっただけでも、話してよかった。
あなたの周りの人は、疑問をその場で口にしてくれているだろうか。それとも、邪魔になると思って黙っているだろうか。
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