Norikの日々の記録

2026-08-20

「うちは紹介料をいただきます」。そう言っただけで、私は何も決めていなかった

提携の話を一つまとめた翌日の午後、先方の担当者から電話がかかってきた。前日の礼のあとに、こう続いた。今回の件は、うちの紹介として数えられないかもしれません、と。

私は反射的に、それはこちらの分だと思った。相手先はもともと私の問い合わせリストから来た人だ。今の窓口につないだのも私だ。だから電話口でそのまま言った。「うちの案件、うちのリストやから」。強い言い方をした自覚はある。それくらい、当たり前のことを説明しているつもりだった。

向こうから見えているのは、私ではなく経路だった

話を聞いているうちに、かみ合っていないのは事実ではなく前提のほうだと分かってきた。私は「元をたどれば誰の顧客か」で考えている。相手の会社が見ているのは「どの経路で依頼が届いたか」だ。人づてに回って別の窓口から届けば、社内ではそちらの経路の案件として処理される。元をたどれば私です、と後から言っても、それを裏づける記録がどこにも残っていない。

ここでようやく、自分が何を決めていなかったかが分かった。私が伝えていたのは「うちは紹介料をいただきます」の一言だけだ。何パーセントかは言っていない。どの案件が自分の紹介にあたるのかも定義していない。紹介料というのは、言えばもらえるものだと思っていた。実際には、線引きが文章になっていない紹介料は、相手の社内では存在しないのと同じだった。

決めていなかったのは率ではなく、線引きだった

痛かったのは、これから始めるはずだったことのほうだ。手元には、条件が合わずに止まったままの問い合わせが数百件ある。今回の提携でいちばん面白いはずだったのは、その山をもう一度掘り直せることだった。ところが「どこからが自分の紹介か」が決まっていないと、掘った分だけ別の経路の案件として数えられる可能性がある。動けば動くほど自分の取り分が薄くなる形になりかねない。

電話は結論が出ないまま終わった。相手は持ち帰って考えると言い、私も、条件が決まらないなら成立しない取引だと伝えた。突き放したつもりはない。決めずに走り出すほうが、後になって双方に不利益になると思ったからだ。

今の時点で決めたのは一つだけだ。次に提携を始めるときは「紹介料をもらう」から入らない。「どの案件が自分の紹介にあたるか」を先に一文で書いて、両者で同じものを持つ。率の話はその後でいい。すでに動いてしまった分をどう数えるかは、まだ答えが出ていない。

提携の話は、たいてい気持ちよく終わる。揉めるのは半年後、入ってくるはずだったお金が入らなかったときだ。いま進んでいる提携の話で、「これは自分の紹介です」と言い切れる材料は、どこに残っているだろうか。

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