Norikの日々の記録

2026-08-28

取りに戻ればいい、と言った。家の鍵も、そのカバンに入っていた

朝、出発の準備をしていた。荷物を積んで、足元のマットが一枚めくれているのを二人で確かめて、さあ行きましょうというところで手元を見た。財布がない。カバンごと、家に置いてきている。

えー、家まで戻っていいですか。私はそう言った。取りに戻れば済む話だと思っていた。

その数秒後に、戻っても意味がないと分かった。家の鍵も、同じカバンに入っている。家に電話したが、もう出たあとだった。自動車の閉じ込みと同じですわ、とその場で言っている。中に入るための鍵が、入れない場所の中にある。取りに戻る、という選択肢は、最初から存在していなかった。

一つにまとめていたのは、忘れないためだった

財布と鍵を同じカバンに入れているのは、そうしておけば忘れないからだ。カバンさえ持てば全部持っている。長いことそれでうまくいっていたし、忘れ物を減らすという一点だけで見れば、間違ったやり方だとは思っていなかった。

その日は、現金を一切持たないまま動くことになった。同乗する人に、PayPayやってますか、と聞いた。やってない、と返ってきた。

そこで、現金しか使えないところは立て替えてもらって、あとで私が返す、という形にした。道中では、あそこはたぶん現金だけですよ、という話もしていた。カードや電子決済は店の側に手数料がかかるから、みんな嫌がる。だからあの場所は現金だろう、と二人で見立てていた。

実際に着いて聞いてみたら、使えた。ちなみにこれ、ペイペイで使えるんですか。使えますよ。それだけだった。そのあと入った店も、風呂の受付も、そのまま通っている。

見立てのほうが外れていたわけだが、代わりに一日じゅう、注文や受付の前に「ここ、使えますか」と先に聞いて回る日になった。不便というほどではない。ただ、その確認が、行動のたびに一つ前に挟まった。

一つだけにしないほうがいい、と言われた

鍵はカバンに入れず、服につけておけばいい、と言われた。ベルトに付けておけば、手ぶらの日でも鍵だけは体についている。カバンとはリンクしてないんですか、と聞かれて、私はリンクしてます、と答えるしかなかった。

そのうえで、カバンに入れている鍵はそのままでいいから、もう一つスペアを別に持ったらどうか、と言われた。一つだけにしないほうがいい、と。ちょっと待って、と言って考えて、確かに、と答えた。

まとめると忘れ物は減る。減るけれど、まとめたぶんだけ、それを持たなかった日に止まる範囲が広がる。今回で言えば、支払うことと、家に入ることが、同じ一つの持ち物にぶら下がっていた。片方が起きたら、もう片方も必ず起きる。私はそれを、便利さの側からしか見ていなかった。

いまのところ、予備を用意しようと決められたのは鍵だけだ。ほかに何を分けておけばいいのかは、まだ整理できていない。たぶん、増やすものを先に決めるのではなく、なくしたときに何と何が同時に止まるか、という順番で見ることになると思う。

自分のカバンには、いま何がぶら下がっているだろうか。

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