2026-08-29
朝の電話は最初から話が進んだ。午後の電話は、私が断った
午前10時すぎ、会社の窓口に電話が鳴った。遠くの県にお住まいの方だった。古い民家を大工さんと一緒に直していて、離れた場所に住みながらセカンドハウスとして使いつつ、来年から宿として開業したいという。
驚いたのは、その方がすでに保健所へ行っていたことだ。フロントを無人にしたいと考えて、先に役所で確かめてきていた。カメラとWi-Fiで対応できるなら無人でよい、と書いてもらえたという。そのうえで、ではどうやればいいのかを相談するために、うちへ電話をかけてきた。順番が、きれいだった。
清掃は、動けるうちは自分でやろうと思っています、と言われた。予約の管理も自分でやるつもりでいる。ただ、自分でやる場合の難しさと、任せた場合の利点を、並べて相談したい。そういう聞き方だった。
こちらからは、運営を丸ごと預かる形だけでなく、ご自身でできるようになるためのサポートのプランもあることを案内した。物件の住所と間取り、平面図を送ってもらい、それをもとに見積もりと収支のシミュレーションを作って、オンラインで説明する。そこまでの段取りが、最初の電話の中で決まった。
相手は、電話の前にこちらを知っていた
話しながら気づいたことがある。その方は、うちの料金の仕組みを先に知っていた。固定の料金がなく、成果に応じて払う形だということも、会社がどういう関係をお客様と作ろうとしているかも、電話の前にホームページを読んで理解してきていた。よく分かるし、ありがたいと思う、とまで言ってくれた。
だからこの電話は、自己紹介と売り込みから始まらなかった。最初から、確認と段取りの話だった。
午後2時すぎ、別の電話が鳴った。空き家や民泊を考えている人をAIでつなぐ、という仕組みの営業だった。まずはZoomでご挨拶を、と言われた。
私は、何を紹介してもらえて、何がうちの利点になるのかを聞いた。問い合わせを1件いくらで売る形なのかと確かめると、件数ではなくシステムの利用料で、月に数万円、多い会社では十万円ほどだという。断った。うちは、それくらいの金額をかけなくても、いまは十分に集客できている。それから、いらないと言った相手の名簿からは外しておいてもらえますか、とも伝えた。
同じ日に受けた二本の電話の違いは、内容の良し悪しというより、かけてくる前にこちらを知っていたかどうかだった。朝の方には、私が説明する前に、ホームページが説明を済ませてくれていた。午後の会社は、うちの集客の状態を知らないまま、たぶん誰にでも同じ話をしていた。
私も、電話をかける側に回ることがある。かける前に、相手はすでに何を知っているか。そして自分のページは、電話が鳴る前に、どこまで説明を済ませてくれているか。集客の仕組みの大半は、電話が鳴る前の部分にあるのだと思う。
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