Norikの日々の記録

2026-08-30

「可能でしょうか」に「大丈夫です」と答えた。相手の次の質問は、お金だった

夕方、窓口の電話が鳴った。初めてかけますが、と前置きをしてから、遠くの地域で宿を始めたいと思っている、そちらで管理まで担当してもらうことは可能でしょうか、と聞かれた。

私は「大丈夫です」と答えた。

相手は「あ、そうですか」と言った。可能かどうかを聞かれたのだから、可能だと答えれば用は足りる。私はその時点で、この電話の一番の山は越えたと思っていた。

質問は、二つ目でも本題ではなかった

ところが相手は続けた。そのエリアで狙える価格帯のようなもののアドバイスは、もらえるのでしょうか。

ここは一般論で答えられる。相場の話や、どのあたりの層を狙うと埋まりやすいかという話なら、いくらでも喋れてしまう。喋れば、こちらは詳しい人に見える。ただ、その一般論は、その人の物件についての答えではない。

それで、代わりに聞き返した。物件はもうあるんですか。

中古のものを探していて、良さそうだと思っているものが一つある、という答えだった。それなら、その物件の詳細をいただければ、その物件での見積もりと収支のシミュレーションが出せます、そちらを使ってもらったほうがいい、と答えた。

そのすぐあとに返ってきたのが、これだった。

「それは、お支払いというか、契約後という感じでしょうか」

ここでやっと分かった。この人がさっきから確かめていたのは、可能かどうかでもなく、相場でもなく、どこから費用が発生するのか、だった。一つ目の質問も二つ目の質問も、その手前の確認だった。だから、私が「大丈夫です」と答えて済ませたつもりでいた最初のやり取りは、相手にとっては何も済んでいなかった。

どこまでが費用のかからない範囲で、どこから料金の話になるのかを伝えると、「それはありがたいです」と返ってきた。そこから先は速かった。いま表示されている携帯にショートメッセージでメールアドレスを送るので、物件の資料を送ってください。それだけを決めて、通話は数分で終わっている。

お金の話を、相手に切り出させていた

初めて電話をかけてくる人は、一番聞きたいことを一番目には聞かない。いきなりお金の話から入るのは失礼だと思っているし、聞いた瞬間に売り込まれるのも怖い。だから、可能ですか、という当たり障りのないところから入って、こちらの出方を見る。

私はそれを、素直に額面どおり受け取って、可能です、と答えていた。答えているようで、その人が抱えていた一番重いものには触れていない。

今も、初回の電話でこちらから料金の話を先に全部並べるのが正解だとは思っていない。まだ何も見ていない段階で数字だけ出しても、高いか安いかの判断材料がない。ただ、どこまでが費用のかからない範囲なのか、という一行は、相手に聞かせる前にこちらから言ってよかった。あの一行を言った瞬間に、相手の声色が変わって、話が資料の送付まで進んだ。順番の問題だったと思う。

可能ですか、と最初に聞かれたとき、あなたはその質問に答えているだろうか。それとも、その人が聞けずにいる次の質問に答えているだろうか。

関連:問い合わせ対応で信用を失わないための7つの確認

週1回、その週の実践記録のまとめと、オンラインサロン(2026年10月開講)の先行案内をLINEでお送りしています。

LINEで友だち追加する

FacebookとInstagramでも、その日の記録を毎日お届けしています。

「Norikの日々の記録」一覧へ戻る