2026-08-31
十件つないで、一件決まるかどうか。全部受けていたのは私のほうだった
午前十時、提携先へ自分から電話をかけた。文句を言うつもりではなかった。ただ、話が前に進む速さと、進んだ先で決まる割合が、こちらの想定とかなり違っている。それをそのまま言うところから始めた。
「あまりにもマネタイズに時間がかかりすぎていて。時間もそうなんですけど、率もですね。想定よりかなり低いんで」
言ってから、どうさせていただいたらいいのかな、と続けた。用意していた提案はなかった。
数が集まれば、そのうち決まると思っていた
それまでの私の受け方は単純だった。まだ何も持っていない、いつかやりたいだけの人は弾く。すでに対象が手元にある人は、一応すべてつなぐ。もともと全国へ広げるつもりでいたから、来た問い合わせを選り好みする理由がなかった。数さえ積み上げれば、そのうち何割かは決まる。決まらなかった分は次の母数になる。そう思っていた。
電話の途中で、正確な集計はまだ出せていないと断ったうえで、自分の見立てを口に出した。百件集めて、十件も決まっていないと思う、と。十件つないで一件決まるかどうか、ということだ。
言いながら、これは見立てではなく結果だと気づいた。集客の件数は、そのまま広告費に比例する。決まった一件のために払っているのではなく、決まらなかった九件にも同じだけ払っている。母数だと思って積んでいたものは、母数ではなく支出だった。
しかも、決まりにくい相手ほど、決まったあとに手がかかる。取り分は小さいのに、やり取りの回数だけが増える。そういう案件が積み上がっていることも、話しながら自分で認めることになった。
「ROIが全然見えてこないんですよね。このまま突っ走っていいのかどうか、正直、不安になってきていて」
取引先との電話で言う台詞ではないかもしれない。ただ、その時点での自分の状態は本当にそれだった。
頼んだのは、値引きでも件数でもなかった
電話の終わりに、こちらから一つ頼んだ。条件が欲しい、ということだった。
「集客の時に御社へ振る分は、このキーワードで集めた人たちを振る、という形にしたいので。キーワードでもペルソナでもいいので、絞れる情報をもらえませんか」
以前、広告を出し始めたころに似たことをやっている。まず競合を調べて、いつかやりたい人ではなく、今すぐ動く人が打ち込む言葉だけに寄せた。合わない検索語は除外キーワードとして一つずつ積んでいった。あのときは広告の中でやっていたことを、今度は事業の入口そのものでやり直す必要がある。それだけの話だったのに、数が増えている間は気づけなかった。
条件はまだ返ってきていない。だから今日の時点で、何を残して何を捨てるかは決まっていない。決まったのは、数を増やす手をいったん止めた、ということだけだ。増やせば増えるという理由で増やしていたものが、増やすほど減るものになっていた。それを認めるまでに、ずいぶん時間をかけたと思う。
集めた問い合わせのうち、決まらなかったほうにも、あなたは同じだけ広告費を払っている。誰を集めるかを決めているだろうか。それとも、誰を集めないかは、まだ決めていないだろうか。
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