用途地域を3回聞いて、3回とも違う答えが返ってきた
夕方、所有する家を宿泊施設として活用できないか、という相談電話が入りました。改修を終えたばかりで、できれば多くの日に貸し出したい。ただ、どの運営方法が可能なのかは、まだ整理されていない様子でした。
私は最初に、年間の営業日数が限られる形を考えているのか、年間を通した営業を考えているのかを尋ねました。ところが返ってきたのは、「どちらがいいのですか」という質問でした。
私は、相手がすでに二つの違いを理解し、希望する方を選んでいる前提で聞いていました。実際には、相談したいのはそこからだったのです。最初の質問で、こちらの前提と相手の前提がずれていました。
「用途地域」を聞いたのに、立地の説明が返ってくる
運営方法を考える材料として、私は用途地域を確認しようとしました。
一度目に尋ねると、近くにも宿泊施設があるという話が返ってきました。周囲で営業している施設があるのだから、この家も可能だろうという意味だったのだと思います。
二度目に「用途地域は調べてありますか」と聞くと、不動産会社に確認しているから大丈夫だという答えでした。そのまま話は、最寄りの交通機関や立地の便利さへ移っていきました。
私が知りたかったのは、便利かどうかではなく、書類に記載されている行政上の区分でした。そこで三度目は、用途地域とは住居系などの区分のことだと説明し直しました。それでも、すでに営業できると聞いているという話が返ってきました。
三回とも、相手は質問を無視していたわけではありません。相手にとって「その場所で営業できるか」という問いは、周囲の事例、立地、不動産会社から聞いた話を合わせて答えるものでした。一方、私は書類に書かれた一つの項目だけを求めていました。同じ会話の中で、二人が別の答えを探していたのです。
ここで、四回目も同じ言葉を繰り返しても進まないと気づきました。「用途地域は何ですか」ではなく、「購入時の資料は手元にありますか。該当する欄を確認できますか」と質問を変えました。専門用語を知っているか尋ねるのではなく、答えが書かれている場所を一緒に見る形へ変えたのです。
感覚の言葉を、確認できる情報へ変える
同じ電話で、周辺施設までの距離も確認しました。最初に返ってきたのは「歩いて数分くらい」という答えでした。しかし、相談を進めるために必要なのは、近いか遠いかという感覚ではなく、地図などで確認できる距離でした。
歩く速さによって「数分」は変わります。道順と直線距離でも数字は変わります。その場で正確に測っていないことが分かったので、口頭の印象だけで判断しないことにしました。
設備についても同じでした。利用できる人数を考えるために設備の数を尋ねたところ、部屋は広いという説明が返ってきました。相談者は家全体の魅力を伝えようとしていて、私は運営条件を確認しようとしている。ここでも、どちらかが間違っているのではなく、見ている項目が違っていました。
最後に私は、電話で一つずつ答えを出すのをやめました。購入時の資料をメールで送ってもらい、書かれている内容を確認してから、可能な運営方法と試算を返すと伝えました。この日の記録では、資料が届いたか、その後どの方法に決まったかまでは分かりません。結論はまだ出ていません。
この電話で明確になったのは、物件の評価ではなく、私の聞き方でした。専門用語を三回繰り返して伝わらなかったとき、相手の理解不足だと考えるのは簡単です。しかし、こちらが答えてほしい形式を示していなかったとも言えます。
同じ質問に違う答えが返ってきたら、四回目を少し強く言うのではなく、資料、画面、数値など、二人で同じものを見られる確認方法へ変える。その方が、電話の時間も短くなり、思い込みで結論を出す危険も減らせます。
関連:同じ質問に3回違う答えが返るとき|確認のしかたを変える
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