2026-09-01
断りの返事は一分で出た。私が質問する側に回るまで、そこから五分かかった
昼前、知らない会社から電話がかかってきた。うちのホームページを見た、という入り方だった。用件は、同じ枠の代理店をもう一社増やしてもらえないか、というものだ。
断るまでは早かった。すでに契約している先がある。禁止されているわけではないが、同じものを二社に持てば、こちらの手元が煩雑になるだけだ。そう伝えて、ついでに正直なところも言った。
「そこであんまりマネタイズというところで魅力がないので。こんなこと言うたらすいません、失礼になりますけど」
相談に来た人に電気の契約を替えてもらったところで、こちらに残るものが小さい。今はもっと残るほうに力を割いている。断り文句としては、これで十分だった。
自分が使うかどうかで裁いていた
そこまでの私は、相手の話を一つの物差しだけで裁いていた。うちが代理店をやるか、やらないか。自分が使うか、使わないか。二択に落とし込めば、答えは一分で出る。実際、一分で出ていた。
電話が終わりかけたところで、相手が別の商材の名前を出した。同じ会社の中に、電気まわりの設備を投資として扱っている部署もある、という話だった。
それは私が使うものではない。ただ、うちへ相談に来る人が使うかもしれないものだった。
うちへ来る人は、だいたい二種類に分かれる。手元の建物をどうにかしたい人と、まだ何も持っていないが、これから何かに投資して稼ぎたい人だ。後者には、こちらの本業に合う案件が出てくるまで、渡せるものが何もない。合う物件が出ない期間は、登録だけしてもらったまま連絡が途切れる。その状態を、ずっとそのままにしていた。
気づいてから、私は質問する側に回った。土地はどれくらい要るのか。初期にいくらかかって、何年で戻る想定なのか。借入の手当てはあるのか。対応できる地域はどこまでか。うちの相談者は全国にいる、と伝えた。担当を代えて折り返します、という話になって電話は切れた。
断りの返事は一分で出ている。質問を始めるまでに、そこから五分かかった。しかもその五分は、相手が粘ったから生まれた時間で、私が用意したものではない。切ろうと思えば、いつでも切れていた。
同じ日の午後、二本目が鳴った
その日の午後、また電話が鳴った。別の会社から、似た商材の案内だった。午前の会社が担当を代えて折り返してきたのだと思い込んで、そう口に出した。違います、と返ってきた。同じ日に、関係のない二社から、同じ種類の電話がかかってきただけだった。
二本目では、順番を変えた。商品の説明を最後まで聞く前に、紹介して決まったらいくらもらえるのかを先に聞いた。返ってきたのは、その取り決めはまだしていない、だった。
だから今のところ、二本とも進んでいない。興味はある。ただ、金額の決まっていない紹介は、こちらで計算ができない。何件つないだら何が残るのかを出せないものを、相談してくれている人のところへ持っていくことはできない。それは一本目も同じで、条件を聞き切るのはこれからだ。
自分が使わないものは、たいてい一分で断れる。その一分の中で、自分の客に出せるものかどうかまで見ているだろうか。
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