Norikの日々の記録

2026-09-15

値下げを断ったら、四時間後に元の値段で決まった

火曜の昼すぎ、管理をお願いしている担当の方から電話がありました。備品の手配が済んだという報告のあとに、もう一件あります、と続きます。貸している部屋に入居の申し込みが入った。審査はこれから。ただ、入居を希望している方から、家賃を六万八千円にしてもらえないかという問い合わせが来ている。入居は十一月一日から。

七万円で募集していた部屋です。私はその場でこう答えました。

「もう、あそこはね、かかってるから、七万からは下げられないですね」

考える時間は取っていません。担当の方も、ではそのように伝えます、と言って、電話は一分ほどで終わりました。

計算は、とっくに終わっていた

即答はしましたが、その時点で確かめていなかったことがあります。二千円下げなければ、この申し込みが流れてしまうのかどうか。そこは聞いていません。

数字だけを並べれば、下げたほうが得に見える場面です。二千円を十二か月で二万四千円。断って空室が一か月延びれば、それだけで七万円が入ってきません。三年住んでもらったとしても差は七万二千円ですから、空室一か月ぶんと大きくは変わらない計算になります。私は普段、こういう比べ方をしてから決めます。

今回はしませんでした。あそこはかかっているからです。その部屋に入れた分がある。だから七万円は、募集に出す前に「ここからは下げない」と決めてあった線でした。その場で計算しなかったというより、計算はとっくに終わっていた、というほうが近いです。

四時間後に、元の値段で決まった

同じ日の夕方、十六時二十五分に、同じ担当の方から折り返しがありました。仲介に入っている業者さんへ伝えたところ、希望されている方に確認してくれて、十一月一日契約の七万円で大丈夫だと返ってきた、それで進めます、という報告です。

「はい、お願いします」とだけ答えて、この電話も一分で終わっています。値下げはゼロ、入居日はこちらの希望どおり。断ってから四時間十五分でした。

下げてほしいという要望は、必ずしも「それでなければ決まらない条件」ではない、ということだと思っています。聞くだけ聞いてみた、という場合がある。少なくとも今回は、こちらが動かなかったら、向こうが元の条件で動きました。

ただ、そうなったのは私が交渉に強いからではありません。即答できたからです。ここで「少し考えさせてください」と持ち帰っていたら、間には担当の方がいて、その先に仲介の業者さんがいます。返事が一日遅れるあいだに、条件は動かせる前提の話に変わっていたはずです。即答できたのは、その場の判断が速かったからではなく、値段を決めたときに、下げない線も一緒に決めてあったからです。

開業して一年目だと、初めての値引きの相談は、たいてい見積もりを出したあとに来ます。「もう少し安くなりませんか」。そこから電卓をたたき始めると、断る理由をあとから探すことになります。探している時間そのものが、相手には「まだ下がる」という合図に見えてしまいます。

出す金額を決めるときに、ここからは下げない金額も一緒に決めておく。この二つで一組です。

見積もりを送る前に、自分のメモにこの一行を書いておいてください。

「この仕事は◯◯円まで。それより下では受けない」

そう書いてあれば、値引きを頼まれたときの返事は「すみません、そこからは下げられないんです」の一言で足ります。理由は、その一行を書いたときに、もう考え終わっています。

今出している見積もりのうち、下げない額まで決めてあるものは何件ありますか。

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