Norikの日々の記録

2026-09-17

目的を聞く前に、場所の話をしていた

木曜の朝九時過ぎ、宿泊事業の相談の電話を受けました。まだ物件は買っていない段階で、遠方の地方都市にある分譲の一室を買って、宿にしたいという話です。建物は数戸しかなく、管理組合そのものが存在しないと言われました。

私が最初に引っかかったのは、そこでした。

「いや、あの、他の住民からなんか文句が出た時にどうかなと思ったんですけど」

許可を出す組合がないということは、止める組合もないということです。ただ、それは近隣に説明しなくていいという意味ではありません。

「買って、えっと、やろうと思ったはいいけど、近隣に説明しないといけないですから」

「その時に反対されたら、買っちゃって後で反対されたらとか、あとやり出して実際になんかトラブルになって、クレームが起こってってなったら」

一戸建ての方がいいですか、と聞かれて、その方がいいと思いますと答えました。ここまでは、今でも同じことを言います。

そのまま、集客の話に入った

問題はその次です。私はそのまま、その土地で客が集まるかどうかの話に入りました。競合がすごく増えていること。温泉地のように年中人が来る理由がある場所と、大きな祭りの時期だけ人が来る場所とでは、集客力が全然違うこと。雪が降る土地は結構しんどいこと。相手が大都市圏に住んでいると聞いて、私はこう言っています。

「お住まいの地域に住んではるんやったら、そちらで探された方がいいと思いますよ」

五分ほど話したところで、相手が目的を説明してくれました。今年たまたまその土地の祭りに行って、気に入った。一つ拠点を持って自分で楽しみたい。行けない間は貸しておければいい。そういう話でした。

投資として回るかどうかを聞かれていたのだと、私はそこまで思い込んでいました。実際には、自分で使う場所をどこに持つかの相談だったわけです。私の答えは全部、儲かるかどうかを軸に組み立ててありました。

目的が分かってからは、答えが変わりました。

「まあ、拠点として、別荘とかもそうですけど、自分で使うのがメインで、儲からなくてもいいっていうか、経費を少しでも下げるために」

そういう持ち方なら地方でもありだと思う、と相手も言っていました。同じ物件、同じ土地、同じ雪です。変わったのは、何のために持つのかという前提だけでした。

場所の話は、目的が決まってからの話

集客が弱い土地は、収益を目的にするなら弱点です。自分が使う拠点にして、空いている期間の費用を少しでも戻すのが目的なら、弱点は弱点のままでも成立します。私は場所の良し悪しを、目的を確かめる前に単独で採点していました。

近隣への説明が要ることと、管理組合がないことは、目的が変わっても変わりません。そこは先に伝えてよかったと思っています。ただ、その土地はやめた方がいい、という話まで進めたのは早すぎました。

次からは、場所と条件を聞く前に、何のために持つのかを聞きます。

開業一年目でも、同じことが起きます。初めての問い合わせほど、こちらは早く役に立ちたくて、聞かれる前から答えを用意してしまいます。予算はいくらか、いつまでに必要か、どんな仕様か。順番としては正しそうに見えますが、その手前に、何のために作るのかがあります。安く早く作ることが正解の相手と、多少高くても長く使えるものが正解の相手とでは、同じ見積もりの評価が逆になります。

最初の三分で、この一行を挟んでみてください。

「今回のご相談は、儲けを出すためですか。それともご自身で使うためですか」

言い方はそれぞれの仕事に合わせて変えて構いません。大事なのは、条件を聞く前に置くことです。順番が逆だと、こちらは丁寧に答えたつもりで、相手の求めていない採点結果を渡してしまいます。

あなたが今週受けた相談は、何のための相談でしたか。

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