Norikの日々の記録

2026-09-21

ガス代は値段で埋まる。駐車場は埋まらない

昼過ぎに、仲介をお願いしている方から電話がありました。朝にメールで送ってもらった物件の話です。築年数の古い戸建てで、間取りは三部屋、売値は五百万円。買って貸すつもりで見ていました。

開いてすぐに引っかかったのは、駐車場が付いていないことでした。ただ、その時点の私は、それを断る理由にするかどうかまでは決めていませんでした。気にしていたのは家賃のほうです。

前からこのあたりは家賃が取れないのではないかと思っていて、電話でもそう言いました。相手の見立ても、人気のある場所とは言いにくい、というものでした。私の想定は六万八千円から出して、落ち着くのは六万五千円あたり。ところが同じあたりで募集に出ている家を何軒か見ると、五万八千円から六万三千円に集まっていました。しかもどこも駐車場は付いていません。

答えは自分の請求書のほうにありました

もう一つ、この物件はプロパンガスでした。

私はコインランドリーを今も一部やっています。ガスはほとんどがプロパンで、一店だけ都市ガスの店があります。毎月、電気も水道もガスもまとめて数字を見ているので、比べるつもりがなくても差は目に入ります。都市ガスのほうが、だいぶ安い。一・五倍は違う、という感覚が自分の中にありました。

電話をしながら調べてみると、一・五倍から二倍という話が出てきます。正確に言えば、プロパンは火力が強い分、同じ量を使うわけではないので、単価だけを並べて比べることはできません。それでも、実際に払っている金額で見れば都市ガスのほうが安い。これは自分の店の支払いで何年も見てきたことです。

一般的な家庭のガス代が月に四千円から六千円だとすると、差は三千円から五千円。借りる側から見れば、家賃が三千円から五千円高いのと同じです。それを知っていたら、同じ家賃でプロパンの家は選ばないと思います。

そうなると、六万五千円では決まりません。六万三千円、場合によっては六万まで下げることになります。五百万円で買って、直すのに百万円以上かけたら、その家賃では合わない。ここまでは、電話をしながら計算できました。

下げれば埋まるのか、下げても埋まらないのか

電話の最後に、私はこう言いました。

「やっぱりちょっと駐車場が欲しいですね。欲しいからもう見送りしましょうか」

決め手は、さんざん話したガス代ではありませんでした。ガス代の差は、家賃を下げれば埋められます。埋めたうえで利回りが合うかどうかは計算の話で、答えは必ず出ます。駐車場は違いました。無いものは後から作れません。住宅街なので、近くを借りる当てもない。いくら家賃を下げても、車が要る人はそもそも候補に入れません。

つまり私は、値段で埋められる条件と、値段では埋められない条件を、同じ土俵に乗せて悩んでいました。先に分けておけば、迷う時間は半分で済みます。

開業して一年目なら、扱う金額は違っても、同じ形の迷いが来ます。納期が他社より三日遅い、事務所がない、実績がまだ一件もない。こういう時、まず値段を下げて埋めようとします。納期の三日は、相手にとっての損を金額に直せるので、値引きで埋まることがあります。実績が一件もないことは、いくら引いても不安が消えない相手には届きません。値引きで埋まる不足と、埋まらない不足があります。

今日から使えるのは、この計算です。

足りない条件について、「それが無いせいで、相手は毎月いくら余計に払うか」を金額に直します。そして、その金額を自分の値段から引いてみます。引いた値段なら選んでもらえるなら、それは値引きで埋まる不足です。引いても選ばれないなら、値段では埋まりません。埋まらないものは、下げるのではなく、その条件を必要としない相手を探すか、条件そのものを用意するしかない。

次からは、見送る理由を一つに絞ってから電話を切ります。今回で言えば、駐車場です。

あなたが今、値引きで埋めようとしているものは、本当に値引きで埋まるものでしょうか。

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