段取り / 予定 / 判断
押さえるのは早く、決めるのは前日|予定とやり直しの決め方
天気は前日にならないと分かりません。それなのに、私は先に日を押さえています。読めるようになってから予約すると、飛べる日に枠が残っていないからです。押さえるのは早く、決めるのは前日、動かすのは前日まで。予約に足す一行、試す時間の取り方、やり直すか進むかを数字で決める方法を整理しました。
この記事で分かること
- 決まっていないことを、先に押さえておく理由
- 取り消しの連絡をしやすくする、予約時の一行
- 「時間ができたら試す」で、永久に試せなくなる仕組み
- やり直すか進むかを、感情ではなく数字で決める方法
- 切り替えで空白ができる理由と、順番の決め方
正直な前提
天気が読めないのに、先に日を押さえています
小型の飛行機に乗る日をどう決めているのか、と聞かれたことがあります。答えは「来週の二日間は、もう予約を入れてあります」でした。
天気は前日にならないと分かりません。それなのに先に日を押さえている。順番としては逆に見えます。
実際、直前の二回は、どちらも前日にキャンセルしました。大雨で、飛行場そのものが駄目だった日です。天気が読めるようになってから予約する、というやり方も選べました。ただそれだと、飛べる日に枠が残っていません。
結論:押さえるのは早く、決めるのは前日、動かすのは前日まで
順番を言葉にすると、この三つになります。
- 押さえるのは早く。確定していなくても枠を取る
- 決めるのは前日。判断できる材料がそろう日に決める
- 動かすのは前日まで。当日の取り消しはしない
読めないものを読めるようにするのは、たいてい無理です。読めないまま持てる選択肢を、どれだけ残しておけるかの方が動かせます。
1:回数を先に決めると、押さえ方が変わる
私は、できれば月に二回は飛びたいと思っています。回数を先に決めているので、天気が良くて予定も空いている日を待つ、という進め方では届きません。
晴れる確率は動かせません。動かせるのは、押さえておく日の数です。飛べない日が出るのを前提に、多めに枠を取る。取り消しの連絡は、その手間ごと込みで払っているようなものです。
そのかわり、当日のキャンセルはしません。前日までに言えば、相手はその日を別のことに使えます。当日になって取り消すと、空いた時間は誰にも使えません。天気の判断は前日にできるのだから、前日に済ませる。決められるのに引っ張って、当日に持ち越さない。そこだけは自分の線として決めています。
2:予約するときに足す一行
同じ日の昼前、来月使う会議室をもう一日分押さえる電話をしていました。何時から使えるか聞いて、確認してもらったら、思っていたより早い時間から取れることが分かりました。そのとき私はこう聞いています。
「今予約した時間で確定ですか。それとも、当日になってやっぱり遅らせたい、というのはありですか」
支払いの都合があるので、使う時間はある程度決めてほしい、と言われました。それで時間を確定させて、こう続けています。「もう少し遅くします、早めにしますと分かれば、早めにご相談します」。
飛行機と同じことを言っていました。まず押さえる。変える必要が出たら、分かった時点で早めに伝える。当日に黙って変えない。自分でそう決めていたつもりはなく、録音を聞き返して、同じ日に二回同じことを言っているのに気づきました。
だから、予約を入れるときにこの一行を足してみてください。
「一旦この日で押さえさせてください。変更が出そうなら、前日までにご連絡します」
先に言っておくと、取り消しの連絡がしやすくなります。言っていないと、切り出しにくくて当日まで引っ張ることになります。当日まで引っ張った取り消しは、こちらの都合の押しつけになります。
開業して間もない時期は、これが逆になりがちです。まだ確定していないから予約しない、まだ決まっていないから声をかけない。そうしているうちに、取りたかった日が埋まります。初めての現地調査でも、初めての撮影でも、相手の都合が絡む予定ほど、先に枠だけ押さえておく。そのかわり、変更が出そうだと分かった時点で、自分から早く伝える。それだけで、月に動ける日数が変わります。
3:「時間ができたら試す」では、永久に試せません
新しい道具は、上手さより何回触ったかで差がつくのではないか、という話を聞いた日があります。正解を探してから動くのではなく、まず一回試した結果から次を考える。
理屈はよく分かりました。私は構想を考える時間は長いのに、小さく試す回数が少ない。考えている間は失敗しないので、そちらへ寄ってしまいます。
特に残ったのは、「探すには余裕がいる」という言葉でした。余裕がなければ、当たるか分からない方向へ一歩を出せず、目の前を片づけるだけで一日が終わります。
そしてその日、まさにそうなりました。昼までに、先の予定、出発時刻、荷物を置く場所など、細かな調整が続きます。一つひとつは短い。しかし決めるたびに前後の予定を思い出す必要があり、思った以上に頭を使いました。確認の電話や、その場で返せば終わる問い合わせも入ります。数分で終わっても、元の考えへ戻るまでには間ができる。大きな用件に一日を取られたのではありません。小さな用件の間に、余白が細かく削られていきました。
私は「時間ができたら試す」と考えていました。けれど、その順番では時間は残りません。一日の用件は、空いている場所まで埋めにきます。
新しいことへ踏み出す余裕は、仕事が少ない人だけが持てるものではありません。短い時間でも、先に予定として確保するものです。大きく始める必要はありません。正しい答えを出す必要もない。触ってみる、一本作る、一度見せる。余った時間を待たず、最初の一回を予定表へ先に置きます。
予定を先に押さえるという点で、飛行機の枠と同じ話でした。確定していない予定も、試す時間も、先に場所を取らなければ存在しません。
4:やり直しは「戻る作業」で、進む作業ではありません
車で帰る途中、分岐を一つ読み違えて、気がついたら高速道路の入口の列に並んでいたことがあります。窓を開けて、係の方にこう聞きました。
「すいません、間違えて入ってしまったんですけど、戻るには」
自分の口から出たのが「戻るには」でした。間違えた地点まで引き返して、乗ってしまったことをなかったことにする。その前提で聞いていました。この時点で私が考えていたのは元の道のことだけで、目的地までのことは何も考えていません。
返ってきたのは、ここで折り返すことはできない、という話でした。次の出口まで走って、そこで一度降りて、反対側から戻ってきてもらうことになる。時間は三十分ほどかかる、と。
走りながら案内を見比べました。次の出口で降りて、そのまま下の道で帰った場合、もともと降りるはずだった道で帰るのと七分しか変わりませんでした。少し先でもう一度確かめても、差は十分。
並べてみると、はっきりしていました。移動の目的は家に着くことであって、正しい道を通ることではありません。それなのに私は、料金所で最初に戻り方を聞いていました。
判断の材料は七分という数字ひとつです。感情のほうは最後まで「間違えた場所まで戻したい」と言っていましたが、それは目的とは関係のない話でした。
仕事でも同じ形の場面が来ます。出した見積もりの条件を間違えていたと後から気づく。作り始めたページの構成が、そもそも違っていたと分かる。人に頼んだあとで、頼み方を誤ったと気づく。こういうとき、最初からやり直したくなります。ただ、やり直しは戻る作業であって、進む作業ではありません。相手が待っているのは正しい手順ではなく、届くものです。
気づいた時点で、紙に二行だけ書いてみてください。
「元に戻すのにかかる時間」/「いまの状態から仕上げるのにかかる時間」
この二つを並べて数字を入れると、たいてい戻るほうが高くつきます。人に聞くときも同じで、戻すとどれくらいかかりますか、このまま進むとどれくらいですか、と両方を一度に聞きます。片方だけ聞くと、片方しか比べられません。
5:次を置いてから、前を外す
順番の話をもう一つ。切り替えのときです。
ある日の午前中、契約の切り替えに時間を使いました。前をどこで終わらせ、次をいつ始めるか。それだけのはずが、月の途中にするのか、少し重ねるのか、空白を作るのかで止まりました。
前の側と次の側は、同じ速さで進みません。やめる、止める、解約する作業は早い。次を付ける側は確認と書類が多く、開始日も待たされます。放っておけば、外すほうだけ先に終わり、自然に空白ができます。
そして私は、外す側を丁寧に進めていました。終わりが見えるので気持ちがいい。その一方で、次に何を置くかは「あとで決める」にしていました。片づいた感覚があるぶん、空白に気づきにくい。
空白を完全になくすことはできません。それでも原則は決められます。
- 契約なら、次の開始日を確定してから前を終える
- 方針なら、次の行き先を決めてから今のやり方を止める
- 記録なら、置き場所を決めてから量を増やす
ただし、すべてを準備してから動こうとすれば、いつまでも外せません。空白があっても平気なものと、必ず重ねるものを分ける必要があります。先に押さえるのと同じで、順番を決めておくだけで迷う回数が減ります。
6:毎回決めることは、簡単な順番にしておく
ここまでは「先に押さえる」話でしたが、逆に決めなくていいことを決めておくのも同じ効果があります。
冷蔵庫では古い食材から先に使う、という決まりの話を聞いたことがあります。単純ですが、決まっていなければ、開けるたびにどれから使うか考えることになります。
一つの判断は小さくても、回数が増えると頭を使います。最適な順番を毎回探すより、十分に使える簡単な順番を共有したほうが実行されます。
関連して、道具についても同じことを感じています。「これはどう使えばよいですか」と聞けば、正解を受け取って早く動けます。最初はそのほうが成果も出やすい。しかし、正解には期限があります。前提が変わったとき、次の正解が配られるまで手が止まります。「これで何ができるだろう」と考える人は、前提が変わってももう一度同じ問いを立てられる。日ごとの差は小さくても、止まった時間が積み重なると、一年後に距離になります。
新しいことでは、自分で問いを持つ。繰り返す作業では、問い直さなくてよい順番を決める。この二つを分ければ、本当に考えるべき場面へ頭を残せます。
今日からやること
- 月に何回やりたいかを先に決める。回数が決まると、待つのではなく押さえる側に回れます。
- 確定していない予定を、今日ひとつ押さえる。相手の都合が絡むものから先に取ります。
- 予約の連絡に一行足す。「変更が出そうなら前日までに連絡します」。あとで取り消しやすくなります。
- 試す時間を、予定表へ先に入れる。余った時間は残りません。30分でかまいません。
- やり直しが出たら、戻る時間と進む時間を並べて書く。数字を入れてから決めます。
- 切り替えは、次の開始日を決めてから前を外す。外す作業のほうが早く終わるので、空白ができます。
まとめ
決まっていないから押さえない、時間ができたら試す、間違えたから戻る。どれも真面目な判断に見えて、実際には動ける日数を自分で減らしています。
先に押さえて前日に決める。試す時間を先に取る。やり直しは数字で比べる。読めないものを読もうとするより、読めないまま動ける形にしておくほうが早い。
いま、決まっていないからという理由で押さえていない日が、ありませんか。
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