2026-09-09
まとめた方が強い。それでも48個のままにした

昼の十二時から、事業の集客を見てもらうことになった人との顔合わせでした。画面共有が始まって、これから進めたい方向が五つ並んでいます。その一つ目が、都道府県ごとに分けている四十八のサイトを、一つに統合しましょう、という提案でした。
私はその場で、こう答えました。
「まず一番目の、四十八サイトの統合っていうのはないんですね」
迷いませんでした。四十七の都道府県それぞれで別のドメインを取って、そこに全国版を一つ足して四十八。あえてそうしています。ここを変えることはない、と即答しました。
ただ、そう答えたあとで自分でも気づいたことがあります。なぜ分けているのかを、私はこれまで一度も文章にしていませんでした。相手からすれば、経緯があったのだろうとは推察できても、中身は分かりません。だからその場で説明を足すことになりました。
提案が間違っているわけではありません。むしろ、教科書通りなら統合が正解です。ドメインを一つにまとめれば、そこに評価が集まって検索で強くなる。四十八に散らせば、一つひとつは当然弱くなります。私自身、その場でこう言っています。SEO的には当然、統合するよりは弱いと思う、と。弱いと分かったうえで分けている。
順位を上げる力と、見つけた人からどう見えるか
分けている理由は、検索の順位そのものではなく、たどり着いた人からどう見えるか、にあります。その県のドメインで出てくると、その都道府県に特化した会社だと見てもらえます。全国を一枚で扱っているサイトと、自分の県の名前が入っているサイトが並んでいたら、地方で探している人はたいてい後者を開きます。
そして実際に、問い合わせが来ているのは地方です。東京や大阪のように、みんながしっかり広告費をかけて競っている場所からの問い合わせは、うちは少ない。強い場所で正面から勝つのではなく、分けたからこそ拾えている場所がある。統合すれば検索の力は上がるかもしれませんが、この見え方は消えます。何が増えるかだけでなく、何が消えるかまで分かっているので、答えが早くなります。
分けているのには、もう一つ理由があります。ブランドが育ってくると、競合が必ず真似をしてきます。それなら、真似される前に自分で競合を作ればいい。そう教わって、実際に別のブランドを立ち上げました。四十九個目です。しかもそちらは、一つのドメインで全国をまとめる作り方にしています。分けたものと、まとめたもの。両方を自分で持っている状態です。
五つの提案のうち、断ったのはこの一つだけでした。ほかは、やってみてもいいかもしれない、と受けています。既存のオーナー向けの入り口が今のサイトにない、という指摘には、確かにそこは今まで狙ってこなかった、と答えました。自分に無かった視点はそのまま受け取ればいい。全部に反対したいわけではありません。
今回はっきりしたのは、提案が正しいかどうかとは別に、断る側に必要なものがある、ということでした。一般的に正しいやり方を持ってきてもらったとき、こちらが返せるのは「うちの場合は、こういう取れ方をしている」という自分の観測だけです。それを相手に分かる言葉で出せるなら、それは方針です。出せないなら、単に今までのやり方に慣れているだけです。私は即答できましたが、書いたものとしては残していませんでした。それでは、私がいない場では誰も説明できません。
次からこう決めます。あえて一般解と違うやり方を選んでいる部分は、その理由を短くていいので書いて残しておく。相手に説明を求められてから話すのではなく、最初に渡す。そのうえで、書けなかったものは方針ではなく癖だと思って、いったん疑ってみます。
あなたが「うちはこのやり方でいく」と決めていることの理由を、今この場で、初対面の人に一分で説明できるでしょうか。
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