Norikの日々の記録

2026-09-11

初めての外注先は、納めたあとの話ができる人を選ぶ

昼前に電話が鳴りました。離れた県の土地を買うときに、間に入って動いてくれた方からです。用件は手続きの報告でした。上に建っていた古い建物を壊した分の登記が終わったので、役所から証明の書類が自宅に届く。それを法務局へ出せば、この件は全部終わります、と。

私はその場でこう聞いています。

「それって自分で行っても、そんなに大変ではないですかね」

書類を一枚出すだけの話に見えたからです。買うところまでで十分に動いてもらっていたので、残りは自分でやるのが筋だろうと思いました。調べておきます、と返ってきて、その話はそこで終わるはずでした。

続けて出てきたのは、最悪、現地まで行かなくてよくなったら、という言葉でした。意味が分からず聞き返しています。

「えっ、なんでですか」

来月から一か月、現地に部屋を借りたのだそうです。「そんな、それだけのために申し訳ないですけど」と言いましたが、借りたあとでした。理由を聞くと、その土地を本格的に売りに行きたいから、という話でした。問い合わせが少ないのは自分でも分かっている。寝かせているうちに草が伸びるので、秋のうちに抜いて除草剤も撒いておきたい。現地にいれば人脈もできる。十月になれば通算で五か月そちらにいることになる。草は十一月ごろまで伸びるから、それまでに形にしたい。そういう順番で話が進みました。最後に、登記の書類も預かって委任状をもらえれば、自分の方で出せるか調べておく、と付け足されました。

私が「ありがとうございます。本当に、何かありがとうございます」としか言えなかったのは、お礼の言葉が足りなかったからではありません。こちらが用意していた話の枠から、完全に外れていたからです。

私の中では、終わっていた取引でした

買うところまでが、その方に頼んだ仕事です。契約も引き渡しも済んで、あとは自分の持ち物をどうするかという話になります。だからこの電話も、残っている事務の連絡だと思って受けました。実際、私が気にしていたのは、書類をどちらが出しに行くかという一点だけです。

相手はそこで区切っていませんでした。自分が勧めて買ってもらった立場だから、売れるところまでが自分の担当だと考えている。だから頼まれてもいない時期に、頼まれてもいない場所へ、自分の費用で移る。

見習おう、と書くのは簡単ですが、私が実際に変えたのは、人に仕事を任せるときの見方のほうです。これまで私は、速さと段取りの正確さで相手を見ていました。返事が早い、抜けがない、期日を守る。その見方で外したことはありません。ただ、そこで測れるのは渡すまでの品質です。渡したあとに何が残るかは、別のところで決まっていました。

はじめて誰かに仕事を頼むとき、並べて比べられるのは金額と納期くらいです。ホームページの一本目でも、名刺の一箱でも、チラシの一枚でも、選ぶ材料はだいたいそこに集まります。けれど差がつくのは納品されたあとです。作ったものがその後どう使われているかを気にしている人と、納めた時点で手を離す人とでは、半年後に手元に残るものが変わります。金額の差は一度きりですが、こちらの差は続きます。

見積もりを取るとき、一つだけ足して聞いてみてください。

「前に受けた似たお仕事は、その後どうなりましたか」

値段でも納期でもない質問なので、答えは用意されていません。渡したあとを見ている人は、ここで具体的な話ができます。見ていない人は、作ったところまでしか話せません。それだけで、比べる材料が一つ増えます。

次からこう決めます。任せる相手は、渡すまでの正確さと、渡したあとの関心の両方で見る。そして自分が受ける側のときは、納めて終わりにしない。

自分が最後に誰かへ納めた仕事は、いまどうなっているでしょうか。

関連:相談のあとに、誰が何をするか決まる相手を選ぶ

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