Challenge / Perspective
鳥取へ行くにも、車と飛行機では準備することが違う
車なら道路と渋滞を調べますが、自分で飛行機を操縦するなら、風、高度、飛行経路、必要なら酸素まで確認します。同じ鳥取へ行く話でも、経験が変わると見えるものが増えました。
この記事で分かること
- 新しい挑戦が、なぜ視野を広げるのか
- 不動産や飛行機の経験で、見え方がどう変わったか
- 体験がないと持てない視点が、本当にあるという考え方
結論
新しいことに挑戦すると、知識が増えるだけではなく、世界の見え方そのものが変わる。体験していない世界は想像しにくいが、一歩入ると、自分の基準や考え方が大きく広がる。
徳島から大阪、日本から海外へ。外へ出るたびに視野が広がった
この感覚は、徳島から大阪へ出た時、日本から海外へ出た時と同じだと思っている。外へ出ると、それまで当たり前だったものが当たり前ではなくなる。人の考え方も、仕事の進め方も、時間の使い方も違って見えてくる。
私はその経験を何度もしてきた。だから、新しいものに挑戦することは、単なる趣味や刺激ではなく、自分の視野を広げる行為だと考えている。
最初は何も分からなくても、一歩入ると景色が変わる
たとえば不動産賃貸業を始めた頃は、何をしていいのか、何がどうなっているのか、本当にさっぱり分からなかった。それでも、一歩踏み出して実際にやっていくと、少しずつ分かるようになる。
最初は何も見えていなかったのに、続けていくと、仕組みも、判断基準も、注意点も分かってくる。そして、そのうちに理解が深まり、プロとして見える景色に近づいていく。私はそういう経験をいくつもしてきた。
飛行機は、見え方が変わる体験の分かりやすい例だった
飛行機もそうだ。最初はタッチアンドゴーと言って、離陸して着陸するだけの単純な訓練から始まる。その次に、ある空港まで行って帰ってくるという訓練に進んでいく。
飛び始めの頃は、特に何も分からない。でも、自分でいろいろな空港へ飛ぶようになると、考えることが一気に増える。高度はいくらにするか。向かい風ならどうするか。追い風ならどうするか。高度が上がれば酸素が必要になる。目的地までのルートも、地上とはまったく違う見え方になる。
たとえば鳥取へ行く時でも、車で行く場合の考え方と、飛行機で行く場合の考え方はまるで違う。これは、実際に飛んだことがある人でないと分かりにくい感覚だと思う。新しい経験を積むと、こういう見え方の差が生まれる。
人は同じものを見ているようで、実は全然違う
みんな目があって、耳があって、同じ景色を見ているように思うかもしれない。でも実際には、人によって見え方はかなり違うと思っている。どんな体験をしてきたかで、何に気づくか、何を大事にするか、何を危ないと感じるかが変わるからだ。
逆に言えば、体験していないことについては、その見え方を持つことができない。狭い世界の中だけで生きていると、その世界がその人にとってのすべてになる。だから私は、新しいことをやってみることに価値があると考えている。
挑戦するのは、勇気を示すためではない
誤解されやすいので先に書いておく。私は新しいことに手を出すが、冒険が好きだからではない。
不動産も、最初は土地や建物を見ても良し悪しが分からなかった。いくつも見て、買い、運用して、ようやく相場感ができた。操縦のように身体を使うことも、理屈を知るだけでは手が動かない。回数を重ねて、身体のほうが覚える。
新しいことへ挑むのは、次に判断するときの材料を増やすためだ。材料が少ないうちは、人の話とその場の空気で決めることになる。自分で一度やっておくと、次に似た話が来たときに、どこが怪しいかが分かる。
一方で、私には十数年続けていることもある。朝いちばんにトイレを掃除する。始めた理由は、本で読んだから。それだけだった。続けるうちに、効果があるかどうかは考えなくなった。やるかどうかを決めないので、一日の立ち上がりが速い。
積み上げと新しい挑戦は、矛盾しているようで同じ方向を向いている。毎朝の掃除のように迷わず続けるものがあるからこそ、別の場所では迷いながら新しい経験を取りに行ける。全部を新しくしようとすると、決めることが増えて動けなくなる。
続けることは、同じやり方を守ることではない
会社員時代、世界各地を相手に仕事をしていた時期がある。国内の仕事が落ち着くと欧州が動き、その後には北米から問い合わせが来る。一日に三回、別の波が来た。
当時、私は自分の処理能力を少しだけ超える量を意識して持つようにしていた。今のやり方では終わらない量になると、順番を変え、まとめ、削り、人へ渡すしかなくなる。余裕がある間は見えなかった無駄が、足りなくなったときに見えた。
もちろん、予定を詰めすぎる癖は今も反省点だ。ただ、続けることは同じやり方を守り続けることではない。仕組みを少しずつ変えなければ、長くは続かない。新しい挑戦は、その仕組みを壊して作り直す口実にもなる。
役割が先に来て、後から自分が追いつく
準備が整ってから役割が来る、という順番は、私の場合ほとんどなかった。役割が先に来て、後から追いつく。学ぶ側のつもりで参加しても、いつの間にか教える側へ置かれる。
教える側に立つと、自分が分かっていないところをごまかせない。頭の中では理解しているつもりでも、相手へ順番に話そうとすると言葉が止まる。その止まった場所が、自分の理解の穴だ。
だから、説明する側へ置かれることは、強く学ばされることでもあった。役割が先に来たから調べ、言葉にし、足りない部分を埋めてきた。準備不足の不安はあったが、準備が整うのを待っていたら身につかなかったものもある。
ただし、いつも説明する側にいることには怖さもある。答えることに慣れると、分からないと言う回数が減る。知らないことまで、知っている形に整えて話したくなる。
ある日、確定している予定だけを伝え、分からない日程は分からないまま残した場面があった。全部を説明できる人に見せるより、確かな部分と未確定な部分を分けるほうが、あとで動きやすい。教える側に立ちながら、学ぶ側の感覚を失わないようにしたい。
広げた直後は、数字が落ちる
視野が広がるのは良いことばかりではない。実務では、先に数字が落ちる。
対象を広げた取り組みの反応を見たとき、見られる回数は増えているのに、その先へ進む人の割合が落ちていた。
届く相手が変われば、同じ言葉でも同じようには届かない。以前は前提を共有できていた相手に通じた言葉が、その前提を持たない人には自分向けに見えない。広げるのは単なる足し算ではなく、違う相手とのやり直しに近い。
数字が落ちたら元へ戻すのは簡単だ。ただ、それでは何が起きたかを知らないままになる。次に広げたときも同じところで止まる。新しいことを始めると一時的に動きが悪くなる。それを失敗と決める前に、どこで離れたのかを見る必要がある。
疲れ方も変わる。慣れていないことに手をつけると、始める前より疲れる。知らない言葉を調べ、考え方を組み替え、判断のたびに立ち止まるからだ。それでも終わったあとには、休んでいたときにはなかった戻り方があった。体力が増えたのではなく、気持ちが前を向いたのだと思う。休むべき疲れと、前へ進んだための疲れは同じではない。
視野が変わると、人の不安の場所も見えてくる
もう一つ、体験したから分かったことを書いておく。
私は高いところから落ちる絶叫系の乗り物が苦手だ。ところが飛行機には抵抗がなく、眠くなれば普通に眠れる。どちらも、自分では動きを止められない乗り物なのに、感じ方がまるで違う。
考えて浮かんだのは、整備や点検の光景だった。締め付け部分に印があり、ずれれば目で分かるようになっている。出発前には決められた手順で各部を確認し、空へ上がってからも地上から状況を見ている。
私はそのすべてを自分で点検できるわけではない。それでも、誰がどのように確かめているのか、その仕組みを知っている。異常を勘や経験だけで判断せず、目に見える印や複数の確認へ変えている。その積み重ねが見えるから、任せられる。
絶叫系が実際に危険だと言いたいわけではない。安全だという数字を聞けば頭では納得できる。それでも体が怖がるのは、私には確認の過程が見えていないからだ。
この気づきは、自分が仕事を任される側になったときに返ってくる。こちらが丁寧に確認していても、その過程が相手から見えなければ、不安は残る。信用を得るために、実力を大きく見せる必要はない。どこを確認し、何が分かり、何がまだ分からないのかを見えるようにする。
安心とは「大丈夫です」と言われることではなく、大丈夫かどうかを確かめる仕組みが見えることだった。飛行機に乗るという体験をしていなければ、この見方は持てなかったと思う。
新しい挑戦は、人生も経営も豊かにする
人生は一回しかない。だからこそ、いろいろな見方、いろいろな感じ方を体験したいと思っている。新しいことに挑戦すると、人生そのものが豊かになるし、その広がった視野は経営や判断にも良い影響を与える。
AIも同じだ。新しいものが出たら、それをどう取り込むかを考える。最初は分からなくても、使いながら景色が変わってくる。だから私は、これからも新しいものに触れ、挑戦し、そこから見えてくるものを大事にしたい。
こんな方に向いている考え方です
今の世界だけで判断するのではなく、新しい経験から視野を広げたい方に向いています。
- 新しい事業や投資に興味はあるが、最初の一歩が重い
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