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問い合わせの入口を分ける|電話だけ置くと起きること
問い合わせが来ないときも、来たけれど噛み合わないときも、原因は同じ場所にあります。入口です。電話番号しか置いていなければ、まだ考え始めた段階の相談まで電話で来ます。ボタンの先に説明ページを挟めば、そこで止まります。入口の種類、押した先までの距離、公開前の動作確認を、実際の改修の記録から整理しました。
この記事で分かること
- 入口の種類が、届く相談の中身まで決めてしまう理由
- ボタンを増やしても問い合わせが増えない、よくある形
- 窓口を一つに集めるときに、相手へ選ばせてはいけないもの
- 公開前に、人が触った場所から順に確認する手順
- ボタンを増やしたくなるときに、自分の中で起きていること
正直な前提
電話でなくてもよい相談まで、電話で来ていました
ある日、ウェブを見た方から問い合わせの電話がありました。これから始めたいが、管理してくれる人は必要なのか、何を用意すればよいのかという相談です。
相談してもらえること自体はありがたいことです。ただ、内容を聞きながら、これは電話でなくても最初の整理ができたかもしれないと思いました。当時のページには、次の行動として電話番号しか置いていなかったからです。
問い合わせが来ないときも、来すぎて噛み合わないときも、原因は同じ場所にあります。入口の設計です。
結論:入口は「数」ではなく「種類」で決める
ボタンを増やせば問い合わせが増えるわけではありません。決めるのは数ではなく、次の3つです。
- 誰に、どの方法で来てほしいかを決める(種類)
- 押した先に、中継地点を置かない(距離)
- 押した人が実際に動けるかを、公開前に自分で確かめる(動作)
この3つは順番に効きます。種類が決まっていないと距離を詰めても噛み合わず、距離を詰めても動かなければ意味がありません。
1:入口の種類が、入ってくる相談の形を決める
電話しかなければ、簡単な確認も、まだ考え始めた段階の相談も、すべて電話になります。
電話にはその場で話せる利点がありますが、こちらも相手も時間を同時に合わせなければなりません。相手にとっては、聞きたいことが一つ決まっていない段階でかけるのは負担です。だから「電話しかない=相談しやすい」ではありません。電話をかけられる人だけが来ます。
私は当時、ページ内に散らばっていた行動ボタンを共通化しようとしていました。最初は見た目を揃える作業だと考えていましたが、実際には「誰に、どの方法で来てほしいか」を決める作業でした。
条件の確認が済んでいる人は具体的な相談へ進み、まだ検討段階の人には先に読める情報や別の入口を用意する。入口で少し分ければ、話が噛み合わないまま互いの時間を使うことを減らせます。
このとき私が迷ったのは、最初の相談でどこまで扱うかでした。有料にしたい気持ちと、気軽に相談できる入口がなければ始まらない現実の両方があり、その日は結論が出ませんでした。後から考えると、初回相談か継続支援かという二択の問題ではありません。最初の相談で何を整理し、どこから先を個別の支援にするかを決める問題でした。入口が曖昧なままでは、相談する人も、自分が何を聞けばよいか分かりません。
2:気持ちが動いた数秒に、中継地点を置かない
私のサイトには、問い合わせボタンを上にも途中にも下にも置いていました。どこで気持ちが動いても受け止めたいからです。その考え自体は間違っていないと思います。
問題は、全部のボタンが問い合わせフォームではなく、問い合わせの説明ページへ着いていたことでした。文章を読み、聞いてみようと思い、ボタンを押す。移動した先には似た案内と、もう一つのボタンがある。進んだのか戻ったのか分からず、そこで一拍止まります。
問い合わせようと思った熱は長く続きません。その数秒へ、作る側の都合で用意した中継地点を挟んでいました。数か所だけでなく、全ページのボタンを直接フォームへつなぎ直しました。
なぜこうなったのかも分かります。制作時は、最初に案内ページを作り、そこへリンクを集めるのが自然でした。作った順番が、そのまま読者の通る順番になっていたのです。しかし、作る順番と使う人の順番は別です。
3:押しても何も起きないボタンを残さない
別の日、自分を説明するページ一式を作り直し、画面を上から確認していました。見た目は整っていて、文章も一通り入っています。
ところが、並んでいるボタンを押すと何も起きませんでした。リンク先のないボタンが三つ残っていました。作る側には未完成だと分かっていても、初めて見た人には、押せるものにしか見えません。
ボタンは、押した先に何かあるという約束です。見た目だけボタンにしておきながら行き先がなければ、装飾ではなく、押した人の期待を裏切るものになります。
単にボタンを消すのではなく、考え方ごとに中身のあるページを作り、そこへつなぐことにしました。形を揃えるより、押した後の行き先を先に決める必要がありました。
作った側は、どこが仮置きかを知っています。そのため、完成したつもりで画面を見ると、未完成の場所を頭の中で補ってしまう。初めて来た人は補ってくれません。この日から、公開前はページを眺めるだけでなく、上から読み、すべてのボタンを一度押すことにしました。
4:窓口は一つに集め、振り分けは受け取る側でやる
地域別のページを持っていたとき、問い合わせ先も地域ごとに分けていました。これも一つの窓口へ集める方向で整理しました。
地域ごとの振り分けは受け取る側の仕事であり、相談する人に選ばせる必要はありません。選択肢を出した時点で、相手には「どれが自分か」を判断する手間が生まれます。判断できなければ、押さずに閉じます。
ただし、細かく分けるほうがよい場面もあります。以前、県ごとに分けた一覧を作って満足していたのですが、見直すと粗すぎました。作る側から見れば整理されています。しかし使う人は県名ではなく、実際に探している町の名前で見ます。そこで町の単位まで割り直しました。
一見すると逆のことをしています。窓口は集め、一覧は細かくする。けれど基準は同じです。
- 判断してもらうためなら、選択肢を減らす。無視してよい項目を外す
- 探してもらうためなら、相手が使う単位まで細かくする
粒度そのものに正解があるのではなく、何に使うかが先にあります。問い合わせの窓口は判断してもらう場所なので、減らす。一覧は探してもらう場所なので、細かくする。それだけの違いです。
5:用件を止める間違いから先に直す
制作中のページを確認していて、ある店舗の電話番号が一桁違っていたことがあります。
電話番号は、ページの中では小さな数字の並びに見えます。けれど、読んだ人が次に動くための入口そのものです。余白や文字の位置が多少ずれていても用件は果たせますが、番号が違えば電話は正しい相手へ届きません。
一件見つかった時点で、その一件だけ直して終わりにはできません。同じ工程で入力したほかの番号や、メールアドレス、リンク先にも同じ種類の誤りがないかを確かめる必要があります。
ただ、全部を最初から均等に読み直すと時間がかかります。そこで、今回どこを人の手で編集したかを確認し、その範囲から見ることにしました。間違っていたのは、自動で入れた部分ではなく、人が手で編集した箇所でした。人が触る場所には判断が入り、判断が入れば入力違いや転記漏れが混ざります。作業した人を疑うという話ではなく、確認の順番を決めるための話です。
同じ日に、特典のアイコン、期限表示、読みにくい色、内容と合わない写真も見直しました。どれも致命的な不具合ではありません。一手間かかるだけなので、利用者は苦情を言わずに離れます。こちらは特典の中身を知っているから、名前だけで価値が分かります。初めて見る人には、名前は名前でしかありません。期限が書かれていなければ、いつでもあるものに見え、今日は選ばれません。
直していたのは、リンク、アイコン、期限、色、写真とばらばらでした。しかし原因は同じです。自分の頭の中ではつながっているものが、外から見ると途中で切れていました。
6:入口を増やしたくなるのは、たいてい不安だからです
作りかけのページを画面共有して、専門にしている人に見てもらった夜がありました。自分では何度も眺めたページですが、人に説明すると、口で話している要点が画面のどこにも書かれていないことに気づきました。
さらに指摘されたのが、行動を促すボタンの多さでした。上にも途中にも下にもあり、しかも言葉が違う。私は押す機会を増やしたつもりでしたが、読む人には、どれを押せばよいか分からない画面になっていました。
なぜ増やしたのかを振り返ると、ここで押されなかったらどうしよう、という不安がありました。もう一つ入口を置けば、どこかで拾えるかもしれない。読む人のためではなく、自分が「やれることはやった」と思うためのボタンでした。
選択肢や説明も同じです。迷うと増やす。自信がないところほど、言い方を変えて何度も書く。書く側は強調しているつもりでも、読む側には同じ話と判断の手間が増えるだけです。
そして難しいのは、減らしたあとでした。ボタンを減らす作業は数分で終わります。難しいのは、その後に反応が動かなくても、すぐ元へ戻さないことです。私は以前、「試して駄目だった」ではなく「不安になった」という理由で途中から元へ戻したことがあります。
だから今は、行動を一つに絞ったら、一定期間は触らずに見ます。反応が変わらなければ、ボタンの数が原因ではなかったと分かる。途中で変えれば、何が効いたのかも効かなかったのかも分かりません。増やすことは、決めるのを先送りすることでもあります。
7:相手が最初に知りたいのは「自分は対象か」
入口の手前に、もう一段あります。
私が施設の運営について問い合わせる側になったとき、最初に知りたかったのは、詳しい中身ではなく「自分は対象なのか」でした。対応範囲を先に聞けると、そのあとの説明が頭に入ります。逆に、範囲が分からないまま説明を聞くと、聞きながらずっと「これは自分の話だろうか」と考えることになります。
これは相談を受ける側でも同じです。相手が対象かどうかを先に伝え、そのあとで内容を説明する。入口のボタンの上に一行、「こういう状況の方へ」と書いてあるだけで、押すかどうかを相手が判断できます。
関連して、順番の失敗も書いておきます。ある日の午後、公開しているページの細かな修正を続けていました。画像を足し、メニューを増やし、表示が切れる箇所を一つずつ直す。そこで表示回数を確認すると、想像よりずっと少なかった。私は、作ったページは誰かに見られているつもりで中身を直していました。実際は、まだ見つけられてもいませんでした。
検索側への登録を済ませました。手続きは短いのですが、これをしなければ、その後の修正は誰にも見られない場所で続きます。内容を良くすることと、見つけてもらうことは別の仕事です。入口の設計も同じで、まず開いているかを確かめてから、中身を磨きます。
公開前のチェック
- 入口の種類を紙に書く。電話、フォーム、チャット、読み物。それぞれ「誰に来てほしいか」を一行で書けるか
- すべてのボタンを、上から順に自分で押す。行き先のないボタン、説明ページを経由するボタンを探す
- 電話番号・メールアドレス・リンク先を、人が手で編集した箇所から確認する
- 選ばせている箇所を探す。地域、分類、担当。受け取る側で振り分けられるものは、相手に選ばせない
- 期限と条件が書いてあるか見る。いつまでか、誰向けかが無いものは、今日は選ばれない
- ボタンの上に「こういう状況の方へ」の一行があるか確かめる
まとめ
入口を増やしても問い合わせは増えません。増えるのは、こちらが受け取りたい形の相談を、その形で受け取れる入口を置いたときです。
電話しかなければ電話で来ます。ボタンの先に説明ページを置けば、そこで止まります。押せないボタンがあれば、期待だけ裏切ります。どれも、自分で上から押してみれば見つかるものです。
増やす前に、知っていることを一度忘れて、上から順に自分で押す。読んで、迷うかを見る。問い合わせボタンを押した人には、そのまま問い合わせてもらう。当たり前の通り道へ戻すことが、いちばん効きます。
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